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SMBCの到来で変化を迫られるIT部門

更新: 2014年7月1日

最近、“SMBC”という言葉をIT業界の方からよく聞きます。某銀行のことかと思いましたが、どうも違うようです。答を言えばSocial・Mobile・Big data・Cloudの頭文字を取った略号。SMBCがこれからの企業ITを変えていくキーワードだそうです。

インターネットにより、すでにITの環境は大きく変化してきています。例えば企業向けのITが先行してその次にコンシューマーへと展開をしていくという、従来のITの普及モデルは、もう過去のもの。コンシューマー向けのITが先行し、その後を企業のITが追いかける形が主流になっています。

企業向けより消費者向けが先行するのは少し不思議な気もしますが、市場規模を考えれば当然のことです。AmazonもGoogleも最初からコンシューマー向けの世界市場を見据えて展開し、成功してきました。その成功を踏まえて自らが持つサービスを企業向けに展開してきています。

しかし、現時点ではこれらのサービスを利用している企業とそうでない企業が存在しています。もちろん、それぞれの企業なりの理由があるのでしょうが、このような大きな変化に一番ついて行けていないのは、ひょっとしたらIT部門なのかも知れません。

従来の重厚長大な発想のままで「自分たちで作ったものこそがITの本流であり、中枢である」と、IT部門にいる人達の多くは考えているのではないでしょうか。パソコンが登場した時も、インターネットの商業利用がスタートした時も、同じような現象がありました。IT部門のメンバーも個人では一人のコンシューマーとして新しいものを積極的に取り入れている。にもかかわらずパソコンやインターネットを自分たちの仕事である企業ITの領域に持ち込むまでには、随分と時間をかけたところが多かったのです。

では、今日の“SMBC”はどうでしょう?少なくないIT部門の人たちは、少し勉強しただけで、「企業ITにはまだ使えない」とか、「いろんな課題があって成熟度が低い」とか言ったように不信感・拒否感を抱いているのでは、と思ってしまうのは、私だけでしょうか。パソコンやインターネットの経験があるにもかかわらず、です。

変わることの難しさは私自身、多くの経験を通じて熟知しています。「できることならこれまでの延長線上でいきたい」と考えるのは自然なことかも知れません。それでもIT部門は、大きく変化しなければならない時期を迎えていると強く思います。しかも、かなりのスピードで。

全日本空輸株式会社
上席執行役員 業務プロセス改革室長
幸重孝典