cio賢人倶楽部 ご挨拶

オピニオン

コロナ禍を奇貨として新しい働き方を創造する

更新: 2022年4月1日

 新型コロナウイルスが蔓延して約2年。この間、人々の行動や経済活動が大きく制限され、当社グループも経営面で大きな影響を受けました。一方でリモートワークを中心とした新しい働き方へと社会全体の変革が進んだ面もありました。

 そんな状況下で、アマナグループのICTを含むPlatform Design部門(働く場であるプラットフォームをデザインする部門。いわゆる管理系全般の部署をこのように呼んでいる)の責任者である私は、この2年間、新型コロナウイルス対策本部長を務めてきました。この場をお借りして、コロナ禍での対応と今後に向けて考えていることについて書かせていただきたいと思います。

当社グループは静止画・動画の撮影やCGといったビジュアル制作、コミュニケーションコンテンツのデザイン・構築、イベント企画など、コミュニケーション変革をクリエイティブで解決するビジュアルコミュニケーション事業を行っています。
ネットで完結するストックフォト(写真素材)の販売事業もありますが、大半はスタジオやロケ地などリアルな現場があり、人と人とが顔を付き合わせて何かを作り上げていくビジネスです。

 実のところ、社外で業務を行うスタッフも多いので、コロナ禍以前から社内システムへのリモートアクセス環境の整備やアプリケーションのクラウド化、マルチデバイス対応、それらを前提としたセキュリティ対策など、場所を選ばずに業務を行うことができる環境を整えていました。しかしリアルな現場でコミュニケーションをとりながら制作することに加え、ハイスペックなIT機器を必要とするCG・動画制作などは、どうしても場所が限定されます。請求書の処理など会社でしかできない紙での対応も残っていました。そんな状態でコロナ禍を迎えることになったのです。

 2020年3月頃からの第一波では、自治体からの要請や緊急事態宣言を受けて、在宅勤務へと一気に舵を切りました。ICT部門は自宅のネットワーク環境が脆弱でリモート業務が難しい社員のためにWiFiルーターを手配し、CG制作を担当するスタッフには自宅から社内のワークステーションにアクセスする環境を用意しました。一部残っていた紙が必要な業務については紙をPDF化し、最小限の出社でできる急ごしらえのワークフローを構築して対応しました。

 お客様をはじめとする外部の方々とのやりとりも可能な限りオンライン化し、非対面で業務ができる体制に移行しました。さらにリアルなイベントや展示会、セミナーができなくなりましたので、これらをオンラインで行えるようにするバーチャル・ライブ配信商材を急遽開発。クライアントにご提供するといったことも行いました。この結果、緊急事態宣言下では、全スタッフの9割が在宅で勤務する状態に移行しました。その後は感染状況の変化に応じて出社条件を変化させるなどの運用を継続しており、現時点における在宅勤務率は7割程度で推移しています。

基幹システムの刷新もオンラインで実施

 そういった緊急対応的なリモートワーク環境を整備した後、ICT部門として直面したのは当時、進行中だった基幹システムのリニューアルプロジェクトへの対応です。外部ベンダーに委託していたこのプロジェクトは、当社内に設置したプロジェクトルームとベンダー側における作業の組み合わせで進める予定でした。ところが要件定義段階でフルリモートになってしまい、対面でのコミュニケーションがとれなくなってしまったのです。

 実は委託先のベンダーは中国・上海に拠点がある企業です。大半は流ちょうな日本語を操る方々ですが、一定の言葉の壁や文化の違いはあります。にもかかわらず対面で話せない、ホワイトボードも使えないという環境になったのです。いくつかのオンラインミーティングツール、コラボレーションツールを組み合わせ、ドキュメント共有ツール、チケット管理ツールなどをフル活用して、何とかプロジェクトを進めましたが、リモートワークにおけるコミュニケーションの課題を実感することになりました。

 当社のメンバーからは「どこまで理解してもらったか、対面とは違って雰囲気から感じ取ることができない」、「オンラインだとその会議で必要なことだけを話して終了してしまうので、個人的にちょっと追加で確認したいというラフなコミュニケーションがとりにくい」といった意見がありました。幸い、メンバーの熱意もあり、何とか無事にリリースできましたが、同じ空間にいることができないデメリットを強く実感しました。例えば、リリース後の障害発生時に、その場で現象を見てもらうことができないといったことです。

 もちろんデメリットばかりではありません。リモートワークの良い点もたくさん経験しました。今後は、リアルとリモートを組み合わせたハイブリッド型の新しい働き方に移行していくことになると考えています。また、今回の世の中の大きな変化により、自分たちだけでは取り組めなかったこと、例えば電子契約などは、ずいぶん進めやすくなったように感じます。現在、リモートワークのデメリットを解消した、新しい働き方を実現するプラットフォームを作るべく、デジタルオフィス構築プロジェクトを立ち上げて活動しています。次々と出てくる新しいサービスを活用して、生産性の高い新しい働き方を作り上げていきたいと考えています。

株式会社アマナ
取締役 Platform Design部門担当
石亀 幸大