オピニオン
AI時代に求められるスキルセットを考察する
更新: 2024年7月1日
最近では一般向けのTVや新聞でも、”AI”という言葉が普通に使われるようになりました。筆者などは日常生活で聞かない、目にしない日はないと感じるほどです。今後は否応なしにAIとの共存、共生が進み、私たちの生活や仕事の仕方は大きく変わっていくでしょう。
となると、それに対応・適応・順応するために新たなスキルセットが求められるはずです。それは一体、どういうものでしょうか?ここでは「AI時代に求められる能力とは何か?」について、私見を述べさせていただきます。
人間とAIの共存に求められる能力とは?
欧米はもちろん日本でも、AIにより仕事の有り様やタスクの進め方が変化し始めており、それはさらに加速していくと思われます。例えば翻訳者やイラストレータ、コピーライターといった仕事にはすでに影響が出ていると言われますし、米国では弁護士や会計士、教師の仕事にAIの影響が及びつつあると報じられています。
当然ですが、比較的定型的なタスクの自動化や最適化、生産性の向上においてもAIは極めて有用ですから、既存の職業のいくつかがAIに置き換わり、なくなってしまう可能性は高いです。古い話ですが、2015年に「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf)という調査がありました。今だと49%という数字は、もっと高くなるかも知れません。
こうした変化が進みつつある現状で私達に求められること、人間だからこそできることとは何なのでしょうか?本コラムを執筆している時点で、筆者は「人間だからこその決断力や行動力」が重要と考えます。これらの能力は、AIとの共存、役割分担において不可欠です。
具体的には、AIとの協業により、そしてAIを効果的に活用することにより、新しいビジネスを生み出すのだという発想と、その発想に基づく行動です。この時、 AIに任せっぱなしすることなく、最終的な責任は私達にあるという認識が欠かせません。AIの効率化と人間の戦略的な判断が融合することで、より良い成果を生み出すことができるでしょう。
そして人間ならではの柔軟性や創造力も益々必要なスキルであると考えます。AIを活用し、イノベーションを起こすといった目標を持つことは必然的な流れになると同時に、個々人が意識をして自己判断や問題解決能力の向上させる努力をする必要があるのではないでしょうか?
一方で人間らしさは、多様性や自己表現の重要性を含みます。AIとの共存においては、依存せず自己判断を重視することが重要です。AI時代に求められる人間の力は、適応力や柔軟性、倫理観など多岐にわたる要素を含みます。これらの要素をバランスよく発揮し、未来を切り拓いていくことが重要です。
リーダーはこれまで以上にEmpathy(共感力)を問われる
もう一つ、妙な表現ですが、”失敗する力”も必要です。AIを用いて何かを変革する取り組みは、失敗することが多々あると考えられます。そこでは失敗から学び、それを次に活かす工夫や能力が求められるのです。失敗を恐れず、その経験を成長の機会と捉えるカルチャーや環境が育成されることも重要となるでしょう。
AIの発展は必然であり、それに伴ってAIと人間の関係は変化し続けるでしょう。相互補完的な関係が築かれることもあれば、敵対的な関係になることがあるかも知れません。筆者自身はAIの進化について楽観的・好意的に捉えていますが、AIの倫理に関する課題、問題への対応、対策は整備途上です。スキルとは違いますが、AI時代のビジネスパーソンにはその状況に配慮した公正かつ倫理的なAIの利用が求められます。
最後にリーダーシップの変化についても私見を述べます。リーダーはAIをサポートツールやアシスタントとして捉え、それを活用して迅速な判断力や決断力を発揮することが求められます。その時、数字やデータベースにあらわれない判断力の一部として、「Empathy(共感力)」が重要になると考えます。別の表現をすると、Empathyを軸に自らの判断力を磨くことが大切です。
「Magic & Logic」の妙味なのです。これによって、AIとの共存を円滑に進めることができます。逆に言うと、こうした人間ならではのスキルを高めていかない限り、AIに仕事を奪われることはなくても、AIを使いこなしている、使い方を熟知している別の人達に自身の仕事が取られていくのではないでしょうか?
タペストリー・ジャパン合同会社
VICE PRESIDENT,HEAD OF INTERNATIONAL INFORMATION TECHNOLOGY
杉林 隆彦