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mond人気から見えてくる人間と生成AIの棲み分け

更新: 2026年7月1日

 2022年にChatGPTがリリースされてから4年弱。生成AIは先の姿が読めないほど指数関数的な進化が続いている。その衝撃の大きさはインターネットの商用サービス開始やiPhoneの登場に勝るとも劣らない。

 個人も企業も生成AIの可能性や振る舞いに魅了されている。個人の一部には肯定的な応答や自身の能力を拡張してくれることなどから過度な生成AI依存傾向も感じられる。例えば子供たちや若い人はChatGPTを”チャッピー”などと呼び、まるで信頼できる友のように接している。

 企業ではAIエージェントを導入して業務処理に生かす取り組みが始まっている。米Anthropic社が提供する最新モデル「Mythos」のように高いサイバーセキュリティ能力を持ち、OSやWebブラウザの脆弱性を発見してしまうことから公開が制限されるほどの生成AIも出現した。Mythosに限らず生成AIには人間の能力を遥かに超える面があり、用途や可能性は果てしないように見える。

 ところが実際に使ってみると、違和感を覚えることも少なくない。ハルシネーションと呼ばれる誤った情報を提供するからではない。異常に肯定的で好意的であるとか、どことなく無機質な感じを受けるからだ。そのことが子供たちにもたらす精神的な影響はいずれ社会問題になる恐れがある。

 話は変わるが、mond(モンド)というコミュニケーションサービスをご存じだろうか。スマホのアプリを使って匿名で質問や相談をすると、生身のSNSフォロワーやインフルエンサー、著名人が答えてくれる匿名質問箱である(図)。質問や回答の内容はおおむね公開されていて、人気の回答者のランキングも示されている。質問や回答には画像や動画も使える。

Mond画面イメージ

 マシュマロなど類似のサービスがあるなかでmondは急成長している。特徴の一つがスーパーレター(投げ銭付き質問)という機能だ。100円から5万円までの投げ銭を添えて質問を投げ、優先的に回答を求めることができる。金額は質問者の本気度や熱意を示す。公開された回答に対する投げ銭「スーパーギフト」もあり、ランキングも含めて回答者へのインセンティブが工夫されている。

 質問や相談なら生成AIに投げかけても瞬時にそれらしい答えを返してくれる。それでもmondで投げ銭を付けてまで相談や質問をするのはなぜだろう。生成AIは問い掛けに対して即座に確率計算をして、最も正論らしいと思われる回答を出力する仕組みだから、心や思いやりはない。つまり生成AIは何も考えてはいないのだ。それが無機質を感じる根源でもある。

 これに対し問答(もんどう)という日本語に由来するmondには、人間が本気で回答する仕組みがある。2025年11月には月間アクティブユーザー数が1500万を超えたという。生成AIを使い出した人たちは、そういった違いを鋭く感じている。肯定的で好意的な正論が欲しいわけではなく、生身の人間の生き様や経験に基づく言葉を求めているのだ。

 AIが普及すればするほど、この関係は鮮明になっていくだろう。生成AIには思考、意思、倫理、哲学、思想などの概念はなく、創造性もない。現在のモデルの進化の先には、AGI(人工汎用知能)やASI(人工超知能)は考えられないと言われている。生成AIと生身の人間の棲み分けができてくるということであり、AIには代替できない「人間ならではの価値」があることがわかる。

 もちろん技術の進化はどんなブレイクスルーをするか、予測がつかない。いつか生身の人間と見分けのつかないレベルまで進化することは否定できない。それは期待でもあり、夢でもあり、不安でもある。それでも人間を超えることはないだろう。

以上

CIO賢人倶楽部 代表
木内 里美