cio賢人倶楽部 ご挨拶

オピニオン

CIOと経営トップのコミュニケーションについてIT Leadersに寄稿しました。

更新: 2013年1月1日

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[今月のテーマ]CIOと経営トップのコミュニケーション

「2週に1回以上対話する」が45%
「IT投資メリット」の説明に苦慮

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有力企業のCIOが組織するCIO賢人倶楽部という集まりがある。「CIOと経営トッフのコミュニケーション」というテーマは同倶楽部が決め、設問作成から結果分析までを担当した。今後も適宜、同倶楽部とのコラボによる調査を実施する予定である(編集部)。

CIO 賢人倶楽部異業種少数参加(15 社程度)のセミクローズドな集まりであり、CIO の社内外における地位向上を実現し、企業経営へ貢献することを目指す。本音での意見交換を通じて CIO を支援する活動を 推進する。レイヤーズ・コンサルティング が事務局を務める。

経営トップとIT部門長との協議の頻度

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経営目的の実現を支援するIT企画は、経営トップの意思を反映して構築されなければならない。同時に経営トップには、ITで実現できる姿や限界を理解してもらう必要がある。それゆえ経営トップとCIO/IT部門長のコミュニケーションは必須だが、実際はどうなのか─こんな問題意識のもと、今回の調査を企画した。

まず、CIO/IT 部門長は自社ITに関して、どの程度の頻度で経営トップと協議の場を持っているか(図 1)。結果を見ると「半年に1回も協議していない」は10%に過ぎず、「半年に1回以上」を合計すると66.2%(約2/3)になった。予想していた以上にITに関して協議する頻度は高かった。特に「週に1回以上」か15.3%もあ る点には大きな変化を感じる。

しかし楽観はできない。「CFOや営業担当役員の場合、週に1回以上や2週に1回程度の割合はもっと多い」(レイヤーズの有川理マネージングディレクター)。改善しているとはいえ、CIO/IT部門長のコミュニケーションの割合はまだ低いようだ。

経営トップとIT部門長との協議のテーマ

次に「経営トップに説明することが多いテーマ」を複数挙げ、1位、2位、3位を回答してもらった(図3)。3位までの累計では「ITを活用した社内業務の合理化・高度化」、「ITに起因する経営リスク」、「ITシステムの将来像」がトップ3である。

実は、この設問には重要な意味を込めている 。戦略的投資である「既存事業の拡大や新規事業の提案」が、どの程度議論されているかを聞くことだ。 結果を見ると、これは3位までの累計で4番めだった。同様にITガバナンスの観点から重要な「グローバル化やグループ化への対応」や「業務面や組織面での要改善事項」も、上位に入らなかった。この設問だけで結論を導き出すのは早計だが、説明の内容がまだ一般的な事柄に留まっているということは言えるかも知れない。

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IT部門長が経営トップに説明する上で難しさを感じること

もう1つ、経営トップへの説明で CIO/IT 部門長が苦慮していることを選択式で聞いた(図 2)。「戦略的な投資の経営メリット」が最多(57.2%)。このことも我々は真摯に捉える必要がある。経営トップが求めていることに対し、適切な説明や提案ができていないと解釈できるからだ。

2番めは「ITに関わる固定費の妥当性」(46.0%)。一見、1番めと同じに思えるが、こちらはITに関わる固定費に関する適切なベンチマーク、つまり適切な世間相場がないことが影響していると考えられる。

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